あの夜、あなたがくれた大切な宝物~御曹司はどうしようもないくらい愛おしく狂おしく愛を囁く~
「彩葉?」


「あっ、はい。すみません、あの、私、どうして九条さんと……」


「その質問は本気? 冗談?」


「えっと……」


「本気で覚えてないのか?」


「いえ、その……」


確かに九条さんに抱かれたこと、それはもちろん覚えてる。


だけど、なぜかその前のことはまだぼやけていた。


「数時間前、俺は君とたまたま道の途中でバッタリ出会った。声をかけたら君が突然ふらついて倒れそうになったから、休憩できるところに連れてきた。それがここだ。今に至る経緯、思い出した?」


そうだ、ようやく思い出した、九条さんの言う通りだ。


数時間前のあの時、私はたまたま道路沿いに止まった1台の高級車から颯爽と降り立った九条さんに出会った。


九条 慶都(くじょう けいと)、31歳。


九条グループ、日本一の医薬品メーカーであり美容の分野でも幅広く成長を遂げている超有名企業の御曹司。
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