初恋の人
『1ねん1くみ たかおかゆうな』

 そう書かれたピンクのクレパスが二本、結愛の手のひらに収まっている。

「――え? それ……」

 康史は覚えていたようだった。

「すごく嬉しくて、大切にしすぎて、結局使えなかったの」

 こぼれた涙を拭いながらはにかんで微笑むと、康史は小さく息を吐いてから言った。

「結愛を信じていないわけじゃないんだよ」

 結愛は黙って頷いた。

「結愛は俺が今まで出会った誰よりも純粋な心を持ってると思う。人を思いやる気持ちが強くて、誠実で、自分に正直で、泣き虫だけど芯が強いことも知ってる。それと、一途なこと……」

 康史は何かを考えるように一点を見つめ、しばらく黙り込んでから、決心したように口を開いた。
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