初恋の人
六年前。
結愛が生まれた時、康史は高校生だった。
退院した美智子が、伊藤家――康史の母親の幸代――に結愛をお披露目に行くと、康史がおくるみの中の結愛を覗いていた。
美智子が「抱っこしてあげて」と声を掛けると、康史は嬉しそうに結愛を抱き、頬を擦り寄せた。
それからというもの、康史は毎日のように結愛の様子を見に高岡家を訪れた。高岡家のアルバムの中の写真には、結愛の横には必ず康史が写っている。

そして結愛が小学校に上がると、康史は登校の付き添いを買って出た。
康史が通勤で駅に向かう途中に、結愛の小学校があるのだ。
康史に懐いていた結愛は、それをとても喜んだ。

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