雨上がり、また想いだせるように。
虹空くんは玄関のドアノブに手をかけ外に出る。
私も虹空くんについて外に出る。
「丁度、この前、ここの部屋に住んでた人が夢の世界から出て行って空いてるんだ」
そう言って虹空くんが案内してくれたのは虹空くんの隣の部屋だった。
「今日からこの世界に居る間、ここが雨の部屋だよ」
「部屋……?」
ガチャッと扉を空けてみると、虹空くんの部屋と似たような構造の部屋が広がっている。
「そう。ここの団地には夢の世界に来た人がたくさん住んでる。ここに居れば、雨の助けになってくれる人がたくさん居ると思う」
私は部屋に入る。そして、虹空くんが自分の部屋に戻ろうとした時に声をかけた。
「ありがとう。この世界のこととか、色々教えてくれて」
「全然いいよ。明日は道案内するね」
隣同士の私達は同じタイミングで扉をしめた。