年下の彼は、なぜだか私にZokkonです。
「どうかしたの?深刻な顔して…」

「え?な、なんでもないわ。」

「とにかく、もっと本気で恋愛に取り組むべきよ。
40代のうちに、頑張って再婚したら?」

「私はもう良いの。
それより、あなたこそ、再婚しなさいよ。」

「私はまだ20代だもん。
焦ることなんてないわ。」



ハッとした。
確かにその通りだ。
陽はまだ若いから焦ることは無いけれど、私は本気で将来のことを考えなくちゃいけない年なんだ。



そう思ったら、ますます樹とのことを精算すべきだと思えた。
残念だけど、樹は私とこの先の人生を一緒に歩む人じゃない。
もっと、私に似つかわしい人を探さないと。



そう思う反面、樹と別れたくないというわがままな私もいた。



「そうよね。あなたはまだ焦ることなんてないわよね。」



若くて、美人で社交的で…
陽なら、その気になればすぐに彼氏くらい出来るだろう。
そんな陽のことが誇らしく、そして、どこか妬ましくもあった。



「じゃあ、恵理子さん…また近いうちに会いましょう。」

「そうね。そうしましょう。」

私達は、お互い、笑顔で別れた。
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