年下の彼は、なぜだか私にZokkonです。
「ところで、恵理子さん…今も付き合ってる人はいないの?」

「えっ!?」

どうしよう!?
って、本当のことなんて言えるはずがない。
そんなこと話したら、きっと、軽蔑されてしまう。



「え?いるの?」

「い、いないわよ。あなたがおかしなことを言うから、ちょっとびっくりしただけ。」

「何もおかしなことなんて言ってないよ。
むしろ、こんなに長い間、ひとりでいる方がおかしいよ。
今のうちに誰か探したらどうかな?
年取ってからひとりでいるのは、何かと心細いと思うよ。」

「いやいや、私はひとりの方が気楽で良いの。」

それは、嘘だけど、本当のことでもあった。
今、私は樹と付き合っている。
でも、樹は陽と同い年。
そう思ったら、殊更に絶望的な気分を感じた。
それと同時に、罪悪感みたいなものも。



そうだ。こんな無理な関係、長引かせちゃいけない。
早く別れなきゃ、樹が可哀想だ。
そう思うのに、未練はすぐには断ち切れそうになかった。
それに、樹もまともにぶつかっても聞いてくれるはずがない。
何か、うまい方法を考えないと。
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