年下の彼は、なぜだか私にZokkonです。




「わぁ、東堂トレーナーとあの子よ!」

「綺麗な子ね。」

「良い雰囲気ね。あの二人、もしかして結婚するんじゃない?」



次の日の朝、樹と陽は一緒に出社した。
二人のことは、もうだいぶ広まっているようだ。
考えてみれば、今まで、私達も一緒に出社したり、お昼ご飯を二人で食べたことがあったけど、誰からも何も言われなかった。
私と樹の間に、恋愛感情があるなんて考えた人はいなかったということだ。



(そう、それは私と樹があまりにも不似合いだから…)



だけど、樹と陽のことは、すぐに噂になった。
それは、二人が似合ってるからだ。



それに……
昨日から付き合い始めて、今日は一緒に出社するなんて…



(え、もしかして……)



昨夜、樹は帰りが遅くて、うちには来なかった。
LINEの返信すらなかった。



まさか。
樹は言った。
エッチはしないって。



でも、若い男女のこと。
なりゆきということもある。



なんとも言えない気分になった。
陽への嫉妬…
陽への罪悪感…
焦り…後悔…諦め…



「あれ?三井さん、大丈夫?
顔が真っ青よ。」

「ちょ、ちょっと体調が悪くて…今日は帰ります。」

本当に具合が悪くなって、私は逃げるようにその場を後にした。
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