絶対的恋愛境界線〜当て馬だってハピエン希望です!〜

「徳香が好きなんだ……だから気付いて欲しかった」

 信久が眉根を寄せ、苦しげな表情で徳香を見つめている。その時になってようやく徳香はその意味を理解した。

 この表情、今まで何度もこの顔で私を見てきた。それが自分のことが好きだったからとは、思いもしなかった。

「で……でも……私たちは友達じゃないの? 信久だってずっとそう言ってきたよね?」
「それは……徳香がそれを望んでいたからだよ。徳香のそばにいるために、そう振る舞うしかなかったんだ」

 信久はいつものように優しく微笑む。

「ごめんね、混乱してるよね……。でも今日徳香が笹原さんと楽しそうに話しているのを見てさ……たとえフラれたとしても、きっといつまでも好きだった記憶はなくならないんだろうなって思ったんだ。それに比べて、俺はどんなに徳香にアプローチをしたって友達以上にはなれない……」
「だ、だって……!」
「俺ね、徳香のそばにいてわかったことがあるんだ」
「……わかったこと?」
「そう。徳香にとって、友達と恋人は別の感情で、友達から恋人になることはないんだ」

 彼の指が愛おしげに徳香の頬に指を触れていく。何故かその仕草が切なくて、涙が溢れてきた。

「たとえて言うならね、徳香の中には友達と恋愛対象との間に境界線があって、徳香はそこに立って、出会った人を友達か恋愛対象かに分けてるんだ。しかもその境界線にある壁はすごく高くて、一度友達側になったら越えることはまず無理なんだよ」

 信久の言葉に、徳香は反論出来なかった。彼が言っていることはほぼその通りだったからだ。

 友達は友達、好きな人とは違う。それが徳香の考え方だった。
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