絶対的恋愛境界線〜当て馬だってハピエン希望です!〜
* * * *

 体育館に入る時、いつも以上に緊張した。それは修司にフラれた時とはまた違う感覚だった。

 あれから信久に日常会話のようなメッセージを送ってみたが、既読になることはなかった。

 入り口の前で深呼吸をし、意を決して中に入るが、集まっている人の中に信久の姿はなかった。

 これから来るのだろうかーーしかし徳香は信久の言葉を思い出して急に不安になる。

『俺は今日を最後に徳香の前から消える。もう友達には戻らない』

 あれってどういう意味だった? 私の返事を聞かないで、消えたりしないよね? でもメッセージは既読にならない。それはもう私とは会わないという意味にも取れてしまう。

 そこへ雪乃が慌てた様子で徳香を元へやってくる。

「徳香! いま部長に聞いたんだけど、松重さん、サークル辞めちゃったんだって!」

 あぁ、やっぱり……徳香は青ざめた顔で肩を落とす。悪い予感とは当たるものなんだ。
 
「……知ってた?」

 心配そうに顔を覗き込む雪乃に、徳香は力なく首を横に振った。

「ううん、知らない。ただなんかそんな気がしちゃってただけ……」

 その時、体育館に入って来る杏の姿が視界に入り、徳香ははっとする。

 確か長崎さんと信久は同じ職場だったはず。もしかしたら何か知っているかもしれない。

「ごめん、雪乃! 私のちょっと長崎さんのところに行って来るね!」

 雪乃の返事も待たずに徳香は杏の元へと走り出していた。はやる気持ちを抑えつつ杏に近寄ると、彼女の方が先に徳香の存在に気付いた。
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