絶対的恋愛境界線〜当て馬だってハピエン希望です!〜
「あっ、小野寺さん。こんばんはー」
「あっ、こ、こんばんは……。あの、長崎さん、今少しお時間いただいてもいいですか?」
杏は少し驚いたように目を見開いたが、そのまま笑顔で頷いた。
「いいよ。体育館の中で大丈夫? 外に出る?」
「そんな! 体育館で大丈夫です」
体育館の壁際に荷物を置いてから、杏は床に座る。それから隣をポンポンと叩くと、徳香に座るように合図した。
促されるまま徳香は杏の隣に座ると、すぐに口を開く。
「突然すみません……。あの……松重さんのことを聞きたくて……」
「松重くんのこと?」
「はい……その……松重さんがサークルを辞めたってさっき聞いて……時々長崎さんと社食で一緒になるって聞いていたので、何かご存知じゃないかと思って……」
「そういえば最近社食では会ってないなぁ。エレベーターとかですれ違ったりはしたけど。どうしたの? ケンカでもしちゃった?」
「えっ! い、いえ……そういうことではないんですけど……」
徳香が困ったように笑うのを見て、杏は何かを察したかのように眉を上げた。
「もしかして、告白された?」
「……!」
「あぁ、やっぱり」
「あの……やっぱりとはどういう意味ですか?」
不安そうな徳香をよそに、杏は優しく微笑んだ。