絶対的恋愛境界線〜当て馬だってハピエン希望です!〜
エピローグ
 今日は珍しく園長も主任の先生たちも早めに帰宅したため、帰りやすい雰囲気だった。しかしどの先生たちも机に向かい、各々の仕事をしている。

 サークルのある日はなるべく残業にならないようにしていた徳香は、時計を確認しながら帰る準備を始める。

 すると隣に座っていた先輩教諭がニヤニヤしながら話しかけてきた。

「徳香先生、最近彼氏が出来たでしょ?」
「えっ、な、なんでですか?」

 徳香が驚いたように声を上げると、それを聞いていた他の教諭達がパッと顔を上げる。

「あっ、私もそう思ってた!」
「そうそう。だってなんかやけにオシャレして帰る日があるよね」
「保護者の方々も、徳香先生がキレイになったって噂してたし」
「えっ! そ、そうなんですか?」
「うんうん。っていうか図星でしょ?」

 徳香は真っ赤になりながら、なんと答えたらいいのかわからずに固まってしまう。

「こういう仕事だと出会いなんて全くないから羨ましいなぁ。どこで知り合ったんですか?」

 徳香の前の机で作業をしていた後輩の教諭も、興味津々という様子で聞いてくる。

「いや……実はその……バスケの社会人サークルに入ってて、そこで知り合って……」
「へぇ。バスケなんかやってたんだー。知らなかった」
「じゃあこれからデート?」
「週末だし、やけにソワソワしてるしね」
「楽しそうでいいなぁ。せっかくだから徳香先生のデートに便乗して、今日は私たちも早く帰らない? どうせ来週からクリスマス会への準備で忙しくなるし、今日くらいはのんびりしようよ」
「おっ、賛成!」

 徳香が返事をするのも待たずに、他の先生達も帰り支度を始める。

 あれ、私のせいで早く帰ることになってる⁉︎

 ドキドキしつつも、心のどこかではありがたいと思っていた。ただ彼氏がいることがバレてしまったのは少し恥ずかしかった。

 まぁ別に隠すようなことでもないかなーー徳香は多少の気まずさを感じたものの、心置きなく早く帰れることが嬉しかった。
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