絶対的恋愛境界線〜当て馬だってハピエン希望です!〜
* * * *

 麦茶を口に含んだ徳香は、がっくりと肩を落とした。

「あっ、なんか急に思い出してきた……」
「今日はどういう作戦だったの?」
「長崎さんの真似をして、ちょっと大人っぽい私でアピールしてみる作戦!」
「あぁ、だから大人しかったんだ。見事に撃沈だったけど」

 信久に言われて、徳香は頭を抱えながら更に肩を落とした。

「どうしてかなぁ……こういう大人っぽい感じが笹原さんの好みだったんじゃないのかなぁ」

 彼の好みになりたいのに、どうやってもそうはなれなくて、やってることが全て無意味な気がしてしまう。

「ねぇ、長崎さんを好きな信久から見て、今日の私って長崎さんに近付いてる?」
「……全然」
「えっ⁉︎ そうなの⁉︎ 結構頑張ったのに……」

 愕然とした様子の徳香を見て、信久はグラスをテーブルに置いてあぐらをかいた。

「だって、どうやったって徳香は徳香だし、長崎さんは長崎さんなんだよ。無理して似せようなんてしなくていいと思うけど。だって……笹原さんだって長崎さんだから好きなんだよ。まがい物に興味はないよ」
「うわっ、めちゃくちゃ傷付いたんだけど。今日は毒舌じゃない⁉︎」
「いや、正論だと思うけど」

 返す言葉に詰まって口籠ると、徳香はふうっと息を吐く。
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