絶対的恋愛境界線〜当て馬だってハピエン希望です!〜
「あっ、これうちにもある」
「本当? そこに入ってるのって、ちょっとマイナーな映画が多いんだよね。それを持ってるって、さすが信久だ」
さすがなのは徳香だよ。こんなにたくさん映画について話せるんだからーー題名を見ながら、知らない映画を見つけると胸が高鳴った。
徳香はグラスに飲み物を入れて運んでくる。
「飲みすぎたから、今は麦茶ね」
「うん、いいよ」
グラスを受け取った信久は、引き出しに収まるDVDを指差す。
「これって全部観たの?」
「うん。映画館で観て、特に気に入ったのは買っちゃった。観たいのある? つけるよ」
「でも観ると反省会にならなくない?」
このまま映画鑑賞会にでもするつもりだったのか、徳香はハッとしたように固まる。
「……じゃあ反省会の後に観よう」
「それはいいけど、男が朝まで部屋にいていいの?」
「だって信久が好きなのは長崎さんじゃない。私といても何も思わないでしょ?」
徳香が簡単に言ってのけたため、気持ちを抑えている信久は苦笑いをするしかなかった。
杏のことを好きだと誤解されているからこそ、徳香に近付ける。でもそれは友だちの域を出ないことが前提としてあるため、気持ちを打ち明けたら崩れてしまう関係だった。
一体何が正解なんだろうなーー答えがわからないからこそ、友だちの距離感を選んでしまう自分がいた。