絶対的恋愛境界線〜当て馬だってハピエン希望です!〜
信久の意見に徳香も同意するが、それと同時に虚しさも感じていた。
「……あのさ、そういう時期が来るって思う? その……好きな人が自分を好きになってくれるような日がさ」
笹原さんと長崎さんが付き合ったら諦める……そう思ってきた。二人が付き合う気配がないから一生懸命アプローチしてるのにーー本当のことを言えば、どんなに頑張ったって自分を好きになってくれる日は来ないような気がしていた。
「……俺はまだ何もしてないからね、しばらくはこのまま好きでいるつもり」
「おぉっ! 信久ってばメンタル強すぎ!」
「でもそれくらいじゃなきゃいけないって、前に徳香が言ったんだよ。だから俺も見習うことにした」
信久はグラスを手にすると、麦茶を飲み干す。それに気付き、徳香は立ち上がると冷蔵庫から麦茶の入ったボトルを持って戻ってきた。
信久のグラスに触れようとした瞬間だった。自分からグラスを差し出そうとした信久の指と徳香の指が触れ合ってしまう。
「あっ、ごめん」
そう言って引っ込めようとした徳香の手を、信久がグラスごと掴んだのだ。
突然のことに意味がわからず、徳香は固まってしまう。
「……なんかこういうのってドキドキするな」
「……じゃ、じゃあ離してくれる? しかも私相手にドキドキしてどうするの」
しかし信久は手を離そうとしない。
「あのさ、徳香はこういうのって慣れてる?」
「手を繋ぐってこと? まぁ幼稚園で子どもと手を繋ぐし、どちらかといえば慣れてるかな」
「なるほど……。俺は久しぶり過ぎてちょっと忘れてる」
「……それとこれと、どういう関係があるのかわからないんだけど……」
今も握られたままの指が、熱く痺れてくるようだった。