絶対的恋愛境界線〜当て馬だってハピエン希望です!〜
* * * *

 幼稚園教諭として働いて五年目。ハサミで切ったり、ノリで貼ったりする作業は手慣れている。それでも今回は量が多いと感じていたのだ。

 徳香は規則的に山積みになった色紙と、様々な形に切り取られた色紙の数々に言葉を失った。

「信久……こんなにキレイなのに、このスピードって何……?」
「あぁ、こういうの昔から得意なんだよ。人より器用みたい」

 二人でやれば早く終わるとは思っていたけど、想像していたよりもずっと短時間で仕上げることが出来たのだ。

 しかし信久はテレビの画面に釘付けになっていて、テーブルに肘をついて観ている。

「その位置って観にくくない? ベッドに座ってもいいよ」

 作業の終わった色紙をまとめながら声をかける。

「いいの? じゃあ座らせてもらおう」
「どうぞ」

 ベッドに移動しながらも画面から目を離さない信久を見ながら、徳香は吹き出してしまう。

 あぐらなんてかいて、まるで子どもみたいじゃない。こういうちょっと可愛いところがあるよねーーそんなかとを思いながら頬が緩んだ。

 片付けを終えた徳香は、ココアが入ったマグカップを持ってベッドに腰掛ける。

 すると話はラストに向かっているところだった。というか、この映画が終わらないうちに作業を終えられたことに驚く。

 そして画面に集中している時だった。突然背後に信久の気配がしたかと思うと、徳香の体は彼の足の間に挟まれ、すっぽりとその腕に包まれてしまう。

 恥ずかしさと戸惑いに襲われた徳香は、時が止まったかのように体が硬直し、瞬きをすることすら忘れてしまった。
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