絶対的恋愛境界線〜当て馬だってハピエン希望です!〜

 キッチンに立って箱の中を覗いた徳香は、とろけたような顔になる。

「もう既に美味しそうなんだけど……」
「まだ早いよ。休憩の時にね」

 はいはいと言いながら、冷蔵庫に箱をしまってお茶の準備を始めた。

 信久は洋室に入り、前と同じようにテレビの横にカバンを置く。テーブルの上にはたくさんの色紙置かれ、鉛筆で形を書いたものや、ハサミで切り取ったものなど様々だった。

「狭くてごめんね」
「うん、大丈夫。俺は何をすればいいの?」

 とりあえず床に座って待っていた信久は、両手にマグカップを持って戻ってきた徳香に尋ねた。

 彼女からマグカップを受け取り一口飲むと、こぼさないようテレビ台の上に置く。

「鉛筆で書いてある形に沿って、ハサミで切ってくれる?」
「わかった」
「あっ、映画だよね。観たいのがあればつけるよ」
「なんでもいいよ。徳香のオススメがあればそれでいいし」

 すると徳香はテレビ台の引き出しを開けて、一本のDVDを取り出した。

「私ね、何か作業をする時にこれを観ると、なぜかわからないんだけどすごく(はかど)るんだよね」

 彼女が手にしているのは、エジプトのピラミッドの呪いを解いてしまい、ミイラたちと戦うというやつだった。

 色気も何ないじゃないか……! ま、まぁ仕方ない。とりあえずは徳香に合わせようーー信久は笑顔で頷いた。

「いいよ、それで」

 嬉しそうにディスクを入れ替える様子を、信久は鼻の下を伸ばしながら見つめていた。
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