絶対的恋愛境界線〜当て馬だってハピエン希望です!〜
俺がいるよ
 外遊びから帰ってきた子どもたちに手洗い、うがい、トイレを済ませるように伝える。

 それから戻ってきた子どもたちに、道具箱からノリとハサミを持ってから席に座るように声をかけながら、徳香は各テーブルに色紙を配って回った。

 今日は作品展で展示するために描いた絵を飾るための額縁を段ボールで作って、自分たちで装飾をする作業の日だった。

「みんな準備はいいかな? 大丈夫だよーっていう人は、手はお膝で待っててね」
「先生ー! 今日はこれ切るの?」
「そうだよ。今から説明するから待っててね」

 全員が着席するのを確認すると、徳香は説明を始める。

「この間、みんなで昔話の絵を描いたよね。その絵を飾りたいんだけど、手作りの額に入れたら素敵だなって思うんだ。だからこれから、この段ボールで作った額に、みんなで色紙を使って飾り付けをしたいと思うの」

 段ボールの額を見せながら、色紙を手にする。

「みんなの前に、色紙があるでしょ? それを好きな形に切って、ノリで貼ってね。前の方に先生が切ったのもあるから、使いたかったら使ってもいいよー。何かわからないことがあったら聞いてね。じゃあ始めましょう」

 すると子どもたちはそれぞれの色紙を選びながら、お喋りをしながら作業を進めていく。

「先生! クレヨンで絵を描くのはダメ?」
「それでもいいよ。色紙とクレヨンで作っても素敵だね」
「先生ー。色紙っ何枚使ってもいいの?」
「いいけど、大事に使おうね」

 その時、前方のテーブルに置いておいた、形にくり抜かれた色紙を眺めている子たちが驚きの声をあげる。

「なんかこのお花、すっごくきれいだね〜!」
「うんうん、いつもの先生のお花より、花びらが多いよね!」
「こっちの葉っぱは、いろいろな形と色があるよ! たくさん選べるから楽しいね〜!」

 徳香は聞きながら苦笑いをする。信久が切った色紙が、こんなに子どもたちに好評だなんて複雑な気分だった。

「おい! こっちの星とロケットもすごいキレイだぞ! いつもと違ってちゃんと星の形になってる!」

 確かに星は難しいからちょっと手を抜いていたけど、ここまで子どもたちに気付かれるとは思わなかった。

「これ、先生が切ったの?」

 問いかけられてギクリとする。

「う、うん。先生とお友達で切ったんだ〜」
「そのお友達がきっと上手なんだな。俺これにしようっと」

 子どもたちって意外とちゃんと見ているのだと知り、徳香は肩を落とした。
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