絶対的恋愛境界線〜当て馬だってハピエン希望です!〜

「いけなくはないけど、小野寺さんのやり方って、場の空気を悪くするんだよね。笹原さん以外見えてませんって感じでしょ? もう大人なんだし、もう少し周りに気を遣って、節度のある行動をして欲しいんだよね」
「……私、場の空気を悪くしてます?」
「あぁ、気付いてないんだ。笹原さんしか見てないもんね」

 (あざけ)るように笑われ、徳香は悔しくて唇を噛む。

 あなたたちだって、笹原さんのことしか見てないじゃない……! それなのに、私のことだけ(ののし)るってどういうこと? ーーそれでも事を大きくしたくなくて黙る。言い返したら、それこそ悪く言われるに違いない。

 自分がやっている当て馬のような行為は、確かに不快に思う人がいるかもしれない。それは認める。でも彼女たちの行為も、徳香と大して変わらないはずだ。

「長崎さんみたいに控えめならいいんだけど、小野寺さんのはやり過ぎだと思うの。ちょっと気をつけて欲しいんだよね」

 つまり、出る杭は打たれるってことねーーそうだとしても、三対一で何も言い返せない自分が悔しかった。

「ねぇ、返事は?」

 一人がにじり寄ってきたその時だった。

「何してるんですか?」

 声がして、全員がパッと顔を上げる。そこには無表情の信久が立っていた。
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