絶対的恋愛境界線〜当て馬だってハピエン希望です!〜

「気分転換に何か飲み物でも買いに行く? 特別に奢ってあげようか」
「あはは! ありがとう。じゃあ一番高いエナジードリンクで!」
「……こんな時間にカフェイン?」
「うっ、確かに……じゃあお茶でいいです」

 自動販売機まで歩きながら、徳香は信久の顔を見上げ、小さく口を開いた。

「……笹原さんに告白しようと思う……」
「……唐突だね。さっき言われたことが関係してる?」

 信久が言うと、徳香は立ち止まり、落ち込んだような表情になる。

「私って周りに気を遣ってない? 節度のある行動してない?」
「そんなこと言われたの?」
「うん……」
「大丈夫。徳香はちゃんと気遣い出来てるよ。だから無茶振りされても新体操をみんなの前で披露したし、他の人が不快になるような態度は取ってない。まぁ笹原さんを好きって言うのはバレバレかもしれないけど、笹原さん本人だって不快には思ってないはずだよ」

 信久は自動販売機にスマホをかざし、徳香が希望したお茶を購入した。そしてそのペットボトルを手渡すと、優しく微笑む。

「ありがとう……」
「どういたしまして。で、どうして告白するってことになったの?」
「……なんかこのままズルズル片想いをしてても、結果は変えられないと思うんだ。それなら当たって砕けて、次の恋を探すのも良いのかなって」
「ふーん……それで後悔はしない?」
「うん、しないと思う」
「じゃあ、いいんじゃない? まぁ結果は目に見えてるけど」
「わ、わかんないじゃない……! もしかしたらちょっとくらい可能性があるかもしれないし……」

 下を向いたままボソボソ呟くが、そんな可能性がないのはわかりきっていた。

 すると信久が徳香の顔を覗き込み、笑顔を向ける。

「でもさ、フラれたら俺が慰めてあげる。朝まで映画三昧でもいいし、映画館のハシゴでもいいし」
「……めちゃくちゃ頼りになるじゃない」
「まぁね、だから安心してフラれてきなよ。俺がずっとそばにいるからさ」

 なんて優しい言葉だろうーー徳香は笑顔になると、大きく頷いた。
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