絶対的恋愛境界線〜当て馬だってハピエン希望です!〜
告白の意味
いつもよりも気合を入れて、くすみピンクのワンピースに、白のざっくりとしたカーディガンを羽織る。十一月とはいえ、まだ肌寒さはそこまで感じなかった。
持ち帰りの仕事道具が入った特大の綿バッグを駅のコインロッカーにしまい、頬を叩いて自身に気合を入れる。
イタリアンの店に向かって歩きながら、どこか心許ない気がしてならなかった。サークルの帰りにこの道を通る時、いつもなら信久がいてくれる。でも今日は一人だった。
フラれたら慰めるって言ったくせに、今日笹原さんと会うことを報告したら、『頑張れ』の一言だった。
信久ってば、ちゃんと慰める気があるのだろうか? 笹原さんと会う前なのに、こんなにモヤモヤするなんてーーそんなことを考えながらお店が近くなってくると、入り口のそばで修司が手を振っているのが見えた。
今日はスーツ姿なんだ……やっぱり素敵ーーいつもと違う修司の姿に、徳香はドキッとした。
この人に私はこれから告白をするんだ。そしてきっとーー先のことを考えかけて頭を左右に振る。とりあえず今は笹原さんとの食事を楽しもう。
「お待たせしました!」
「大丈夫。俺も今来たところだから。じゃあ中に入ろうか」
予約をしてくれていたのか、スムーズに席に案内される。ボックス席に向かい合って座るが、二人きりになるのは初めてだと思い出し、徳香は急に緊張してしまう。
「何がいいかな? ちなみにここの生パスタは自家製でオススメらしいよ」
「そうなんですか? じゃあ私は生パスタのカルボナーラにしようかな」
「いいね、俺も同じのにしよう。良かったらワインでもどう?」
「是非」
修司が二人分の注文を済ませる。それからすぐにワインが運ばれ、二人は乾杯をした。
「なんか小野寺さんと二人っきりって初めてだよね。いつもはサークルのメンバーが必ず一緒だし」
「そうですね。だからかな、すごく緊張してます」
「あはは。でもわかる。俺もちょっと緊張してるよ」
緊張しているのが自分だけでないとわかって、徳香は少しだけホッとした。
でも彼の場合、どういう意味の緊張なのだろうか。私がこれから言おうとしていることを察しているから? そう思うと胸が苦しくなる。
本当は食事が終わってからにしようと思ってた。でもこの雰囲気のまま食後まで引っ張れるだろうか。
どちらの選択をしても、私には辛いことに変わりはない。
徳香は意を決して修司を見つめる。その視線で、彼には伝わったようだった。修司は口を閉ざした。
持ち帰りの仕事道具が入った特大の綿バッグを駅のコインロッカーにしまい、頬を叩いて自身に気合を入れる。
イタリアンの店に向かって歩きながら、どこか心許ない気がしてならなかった。サークルの帰りにこの道を通る時、いつもなら信久がいてくれる。でも今日は一人だった。
フラれたら慰めるって言ったくせに、今日笹原さんと会うことを報告したら、『頑張れ』の一言だった。
信久ってば、ちゃんと慰める気があるのだろうか? 笹原さんと会う前なのに、こんなにモヤモヤするなんてーーそんなことを考えながらお店が近くなってくると、入り口のそばで修司が手を振っているのが見えた。
今日はスーツ姿なんだ……やっぱり素敵ーーいつもと違う修司の姿に、徳香はドキッとした。
この人に私はこれから告白をするんだ。そしてきっとーー先のことを考えかけて頭を左右に振る。とりあえず今は笹原さんとの食事を楽しもう。
「お待たせしました!」
「大丈夫。俺も今来たところだから。じゃあ中に入ろうか」
予約をしてくれていたのか、スムーズに席に案内される。ボックス席に向かい合って座るが、二人きりになるのは初めてだと思い出し、徳香は急に緊張してしまう。
「何がいいかな? ちなみにここの生パスタは自家製でオススメらしいよ」
「そうなんですか? じゃあ私は生パスタのカルボナーラにしようかな」
「いいね、俺も同じのにしよう。良かったらワインでもどう?」
「是非」
修司が二人分の注文を済ませる。それからすぐにワインが運ばれ、二人は乾杯をした。
「なんか小野寺さんと二人っきりって初めてだよね。いつもはサークルのメンバーが必ず一緒だし」
「そうですね。だからかな、すごく緊張してます」
「あはは。でもわかる。俺もちょっと緊張してるよ」
緊張しているのが自分だけでないとわかって、徳香は少しだけホッとした。
でも彼の場合、どういう意味の緊張なのだろうか。私がこれから言おうとしていることを察しているから? そう思うと胸が苦しくなる。
本当は食事が終わってからにしようと思ってた。でもこの雰囲気のまま食後まで引っ張れるだろうか。
どちらの選択をしても、私には辛いことに変わりはない。
徳香は意を決して修司を見つめる。その視線で、彼には伝わったようだった。修司は口を閉ざした。