お見合い婚にも初夜は必要ですか?【コミック追加エピソード】
どくんどくんと鳴り響く鼓動を感じる。
思わずきょろきょろと辺りを見回し、誰もこのメールを見ていないよねなどと思ってしまう自意識過剰さ。やましいことは何もないけど! たぶんリップサービス的なものだろうけど! あの兆くんがちょっとでも私を女として意識してくれたという事実がやっぱり嬉しい!

ばんざーいと心の中で歓声をあげつつ、惜しいことをしたとはまったく思わなかった。だって、兆くんに意識してもらった以上に嬉しいことがある。

兆くん、高晴さんのことを格好いいって言ってくれた。そのことが何より嬉しい。
そうなの、うちの旦那さんってすごく格好いいんだ。
なにしろ、私の一生で一番の推しだもの。

そして嫉妬から高晴さんがちょっと嫌な態度を取ってしまったかもしれないのに、気にせず、むしろ褒めてくれる兆くんの度量の広さを尊敬した。
色々あったけれど、朗読劇に行ってよかったなあ。

***

朗読劇から数日後のことだ。
私はご機嫌で夕食を作っていた。今日はお鍋。鱈と白菜とキノコと……。冬はお鍋でお野菜をたくさん食べられていいよねえ。
高晴さんはなんでも食べてくれるからあまり困ることもないし、お鍋は家族の味って感じがして楽しい。そのうち、私と高晴さんに子どもが産まれたら、三人とか四人とかでお鍋を囲むことになるんだろうなあ。

ラブラブ仲良しライフを送っているけれど、まだ赤ちゃんについては、全然相談できていない。言葉にして尋ねてみたいとは思っているんだけど、お互いの気持ちに大きくズレがあったら嫌だなって尻込みしてしまう。そもそも、私自身が仕事と妊娠出産についてちゃんと答えを出せていない……。
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