秘密のベビーのはずが、溺甘パパになった御曹司に一途愛で包まれています
「アメリカの支社にいたってことは、国際弁護士として?」

「そうそう。取れる資格は挑戦しておこうっていろいろ手を出してたら、ちょうどいいからって海外に行かされてね」

 苦笑した大雅だったけど、それでもどこか誇らしげで、信念をもって仕事に向かっているのがうかがえる。

「でも、それなりに実りはあったし、やりがいも感じられたよ」

「すごいなあ」

「それほどでもないよ。千香の仕事だって、俺からしたら未知の世界でおもしろそうだ。英語を自在に操るだけじゃなくて、それをさらに通じる日本語にするって、なかなか大変そうだよね」

 当然彼も英語を話せるだろうに、そんなふうに私を持ち上げてくる。

「大雅の比じゃないわ」

「そんなことないって。俺にはあんなセンスはない」

 彼の発言に、「ん?」と首を傾げる。

「えっと……センスって……?」

「ここへ尋ねてくる前に、千香の仕事を知って作品も全部チェックしてきた。千香のことはなんでも知っておきたいからね」

「あ、ありがとう?」

 大雅の好みはよくわからないが、少なくとも私が関わったジャンルは成人男性のファンは少ないと思う。それでも手に取ってくれたのは素直に嬉しいし、ちょっとだけ気恥ずかしい。
「どういたしまして。さあ、千香。そろそろ寝ようか」

 大雅に促されて立ち上がる。

 陽太を挟んで三人で寝るのだとわかっていても、いざそのときになるといろいろと意識して鼓動が速くなる。

「う、うん」

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