秘密のベビーのはずが、溺甘パパになった御曹司に一途愛で包まれています
 朝になって目を覚ますと、隣に陽太がいないと気づいて慌てて体を起こした。ざっと辺りを見回して、急いでベッドを抜け出す。

「陽太?」

「あ、ママが起きてきた」

 呼びかけながらリビングへ行くと、床に座り込んでいた大雅が振り返った。もうとっくに起きていたのか、その向こうには楽しそうに遊ぶ陽太がいる。

「おはよう、千香。陽太が早くから起き出して退屈してたから、一緒に遊んでた」

「お、おはよう。そうなんだ」

〝ママ〟と言われた衝撃が一歩遅れて襲ってきて、ぎこちない返しになってしまう。

「ほら、陽太。着がえる時間かな?」

「そうだね」

 私に気づいて腕を伸ばす陽太を抱き上げる。

「朝食は俺が作っておくからね」

「ありがとう」

 昨日の胃袋から攻めるという発言は本気だったようで、大雅はすぐさまキッチンへ向かう。彼の料理の腕は夕飯で十分わかっているから、そのまま任せることにした。
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