秘密のベビーのはずが、溺甘パパになった御曹司に一途愛で包まれています
「さあ、食べようか」

 テーブルに並べられたのは、色とりどりのサンドウィッチとスープだった。野菜と一緒に挟まれているのは、昨夜作り置きしておいた照り焼きチキンだ。こんなふうに朝食にも生かすなんて、本当に料理に慣れているのだろう。加えて、ボリューム満点な卵サンドもある。
 陽太には、くるくると巻いた掴みやすそうな形状で用意されていた。

「すごいね」

「そう?」

 なんてことないように言う大雅に、称賛の視線を向ける。

「陽太のなんて、よく考えついたね」

「ネットで調べたんだ」

 昨日はたしか、チャイルドシートも用意してきたと言っていたはず。積極的に育児に関わろうとする彼の姿勢に、思わず笑みが浮かんだ。

「ありがとう、大雅」

「どういたしまして。惚れ直してくれたかな?」

 茶化した調子で尋ねられて、思わず吹き出しそうになる。
 隣に座る陽太は大人の会話などもちろん理解しているはずもなく、手を合わせるのもそこそこに待ちきれないという様子で掴んだサンドウィッチにかぶりついた。

「もう」

 結婚という結論は出せていないものの、私が大雅を想っているなんて最初からわかっているくせに。
 途端に熱を持った頬を手であおいだ。
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