秘密のベビーのはずが、溺甘パパになった御曹司に一途愛で包まれています
 なににしようかと当てもなく歩いていると、手作りジャムの専門店にたどり着いた。

「きっと、ジャムも作ろうと思えばできてしまうだろうけど……材料が手に入りにくいものとか、珍しいものだと喜ばれるかも」

 一緒に並べられている数種類のはちみつも美味しそうだ。容器のかわいさもあって、目移りしてしまう。

 すっかり陽太を任せっきりにして吟味していると、頭上からくすくすと笑う声が聞こえてきた。

「いいよ、千香。ジャムの詰め合わせにしようか。それなら作ったお菓子に添えるのにもちょうどいいだろうし。手土産として大げさに見えないのもよさそうじゃない? ついでに、千香の分も買っていこう」

 私自身もほしかったのなど、彼にはお見通しのようだ。

 味見をして美味しかったルバーブのジャムと、そのほかにもいくつか選んで詰め合わせてもらうと、大雅に連れられてお弁当の売られているコーナーに足を運んだ。

「いい天気だから、公園でランチでもしようよ」

 彼からの魅力的な提案には、もちろん賛成だ。
 買い物を済ませて、再び彼の車に乗り込んで池のある大きな公園に向かった。
< 84 / 168 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop