攫い
都は、冴と同じくいつも一緒にいる幼なじみのひとり。
ルックスも頭も良くて、3年の春まで生徒会長を務めていた。
後輩に引導を譲ったあともなお、なにかと頼られている様子。
冴とはまた違った厚い人望を持っている自慢の幼なじみだ。
「あとでアイスおごりますので……ここはひとつご慈悲を」
なんておどけてみれば、都は小さく吹きだした。
「ふふ、ごめんごめん、怒ってないよ」
「え……ほんと?」
「ん。ほんと」
顔を上げれば、やさしい笑みに見つめられていて
「その代わり、俺にもさっきのやって?」
都が指をさしたのは、冴に風を送っていた下敷き。
あおげ……ということ?
「はぁー?今オレがあおいでもらってんの。汗一つかかない爽やか王子サマは引っこんでろ」
私より先に反応したのは冴。
前のめりになっては挑発するように舌を出す。