S系御曹司は政略妻に絶え間なく愛を刻みたい~お見合い夫婦が極甘初夜を迎えるまで~
私はずるずるとその場に座り込む。
その時、待っていたようにスマホが鳴った。
『北条部長』という表示を見て、少しためらったのち、電話に出る。
「……もしもし」
『いろは、部屋に戻ったか?』
聞きなれた声が、耳の奥に届く。
それだけで、また会いたい思いが募ってしまった。
たった一晩。
それだけなのに……。
「はい。今、さっき戻りました」
『どうした? 何かあった?』
そう言われて、私は自分の左手を見る。
まだなんだかヒリヒリしている気がした。
「いえ」
『そうか……明日の朝、戻るから、今日は早く寝なさい』
「はい。おやすみなさい」
できるだけ明るい声を出して、それからスマホを切る。
私はそのまま立ち上がり、バスルームに向かっていた。