S系御曹司は政略妻に絶え間なく愛を刻みたい~お見合い夫婦が極甘初夜を迎えるまで~

 かろうじて、過去形で聞いた。
 少し驚いた顔で、槙野さんは私を見ている。

「す、すみません。ぶしつけな質問、ですよね」

(しかも、私からしたらかなり先輩なのに……)

 そう思って内心焦っていると、槙野さんはふわりと笑う。
 そして、

「そうだ、って言ったら、どうする?」

とまっすぐ私の目を見て言った。
 その瞳の強さに吸い込まれそうになる。

 私は息もできず、ただ、その場で固まっていた。

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