S系御曹司は政略妻に絶え間なく愛を刻みたい~お見合い夫婦が極甘初夜を迎えるまで~

 会議室に入る時、私は多少なりとも緊張していた。
 そもそも男の人と二人きりになる、という経験自体がすごく少ない。

 社会人1年目は三堂さんとずっと一緒に行動していたし、それまでは女子中、高、大、と進んで、自ら希望して動かなければ、男性との接点なんてほとんどなかったからだ。
 考えてみれば、大人になった今まで、習い事の類の講師としか、男性との接点がない。

 そもそも、男性の講師自体も少なくて、男性講師もお茶とピアノくらいのものだったが……。

「失礼します。七瀬です」

 私が部屋に入ると、北条部長は、

「座って」と自分の斜め前の椅子を手で示す。

「はい、失礼します」

 そう言って座ってみると、部長をちらりと見た。

 たしか……31歳だと朝礼後に三堂さんが言っていた。
 31歳で部長なら本当に相当なやり手だ。同じように、北条総帥の孫息子は何人かいるが、その中でも群を抜いているスピードだと、これも三堂さんが言っていた。総帥のお気に入りなのよ、と。

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