S系御曹司は政略妻に絶え間なく愛を刻みたい~お見合い夫婦が極甘初夜を迎えるまで~
祖父は目をすっと細めて私を見ると、
「……なんだかんだと理由をつけているが、結婚する気がないとは言わんよな」
と言い出す。
「……結婚はします。おじいさまの納得できるお相手と……」
その迫力に思わず言葉に詰まりながら返した。
わが祖父ながら、一代で七瀬モーターズを国内シェア第3位までにのし上げた人物である。気迫が違う。
しかも、これまで何だかんだと言いながら私のわがままをきいてくれていたのも祖父だった。
「でも……私、今の状態で結婚して相手のことを支える自信がありません」
「自信があってもなくても、もう24だろ。本来なら22で結婚させる予定だった」
それを聞いて、思わず言葉に詰まる。
「それでも私は……」
「今回で必ずとは言わないが、少しは真剣に考えなさい」
―――私はもう逃げられないところまで来ているのだろうか。
それでも私はまだ……。