剣と涙〜悲しみの連鎖を断ち切って〜
サーカスは、観客を非現実的な世界へ迷い込ませる魔法がかけられた場所だ。スポットライトが消えてしまえば、その魔法は解けてしまう。

「本日は、サーカスにお越しいただきありがとうございました!また皆様にお会いできる日を心待ちにしております!」

団長、そして芸を披露した瑠依たちがステージに立って頭を下げる。拍手と共にスポットライトが消え、魔法のような時間は終わりを告げる。

「瑠依、お疲れ様!」

瑠依がメイクを落とし、着替えを済ませて会場を出ると、炭酸ジュースを両手に紫乃が走ってくる。

「ありがとう、紫乃。待っててくれていたの?」

「うん。瑠依と帰りたくて」

炭酸ジュースを一本手渡され、瑠依はお礼を言ってからキャップを開ける。シュワッという音が響いた。

「喉乾いてたから嬉しい。これ、最近新しく発売されたやつだよね?おいしい!」

瑠依は紫乃に笑いかける。紫乃は頰を赤く染めながら、「これ、おいしいからおすすめだよ」と言い横を向く。
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