剣と涙〜悲しみの連鎖を断ち切って〜
夕焼けが街を照らしている。まだ生ぬるい風が二人の頬を撫で、遠くへ流れていく。長い影を伸ばしながら、二人はのんびり歩いた。

「もうすぐ夏休みも終わっちゃうね」

「そうだね。また学校かぁ」

紫乃の言葉に瑠依も頷く。学校や勉強がとても嫌いというわけではない。だが、長期休みが終わるとなると憂鬱に感じてしまうのが学生というものだ。

「今年の夏休みは、色んなことがあったよね。沙月たちに出会ったことが一番衝撃的だったなぁ」

「そうだな。あいつらはすごい奴らだった。また会いたいくらいだ」

瑠衣の口調が突如変わり、紫乃は横に目を向ける。そこにいたのは瑠依ではなく、静瑠(しずる)だった。瑠依のもう一つの人格が出てきてしまったようだ。

「静瑠」

「瑠依がどこか疲れているようだったから、出てきてやったんだ」

静瑠は体をグッと伸ばし、大きなあくびをする。好きな人と一緒に帰ることを楽しみにしていた紫乃は、ため息を吐きたくなるのをただ堪えた。だが、静瑠はそれを瞬時に見抜く。
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