剣と涙〜悲しみの連鎖を断ち切って〜
「何だ?俺じゃ不満か?」

グイッと顔を近付けられ、紫乃は戸惑いながら首を横に振る。今は静瑠は実体化していないため、瑠依の体で話している。まるで瑠依が近付いてきたように紫乃は感じ、胸を高鳴らせていく。

「あの鈍感男は、こんなことはしないだろ。お前も大変だな」

静瑠はそう言うと、紫乃から離れて歩き出す。その後を紫乃も慌てて追った。ーーーその時。

「紫乃!瑠依!」

背後から誰かに呼ばれ、紫乃は振り返る。そこには、同じ死神である紫藤菫(しどうすみれ)がいた。走ってきたのか荒い息を吐きながら膝に手を置き、額には汗が浮かんでいる。

「大丈夫か?菫」

静瑠がそう言いながら駆け寄ると、菫はハァハァと荒い息を吐きながら「君、静瑠か?」とすぐに見破る。

「さすがだな。だが、お前が来たということは依頼か?」

静瑠の問いに菫はコクリと頷く。依頼、という単語に紫乃の顔が真剣になる。

「ライラ様に呼び出された。今から三人で行こう」

「なら、この体は瑠依に返す」
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