剣と涙〜悲しみの連鎖を断ち切って〜
その屋敷には、元々猫間という資産家の家族が住んでいた。だが、二十年ほど前にその一家は強盗によって無惨にも命を奪われてしまう。そして、猫間家の屋敷は親戚が住むようになったのだが、事故や病気などの災難がいくつも起こり、屋敷に入った何人もの人が亡くなっているという。

「恐らく、強盗に命を奪われた一家の霊が呪いをかけているのでしょう。ですが、その呪いがあまりにも強力で、危険すぎるのです」

「命の危険もあるということか……」

菫の言葉に、場の空気が重くなっていく。死神という立場上、命の危険を感じたことは何度もある。だが、ライラが恐れるほどの呪いだ。瑠依の拳に力が入る。

「そんなに怯えなくてもいいんじゃない?」

重い空気の中、どこか気怠げな声が響く。瑠依たちの声ではない。ライラがジッと声のした木の奥を見つめた。

「そこにどなたかいらっしゃるのですか?」

ライラがそう声をかけると、木の奥からある人物が姿を見せる。その姿を目にした時、瑠依たちの目が丸くなった。
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