剣と涙〜悲しみの連鎖を断ち切って〜
二メートルほどある身長に、釣り上がった細い目、黄金の九本の尻尾が揺れ、頭には耳がついている。思わず見惚れてしまうほどの美しさを纏う狐の妖は、瑠依たちが知っている存在だった。

「……キング……」

菫の呟きに、キングは「名前を覚えていただいて光栄」と嬉しそうに微笑む。彼ーーーキングは妖と共に戦う巫女である沙月の家にいる妖だ。

「どうして、こんなところにいるんですか?」

瑠依がその疑問をぶつけると、キングはグイッと顔を近付ける。

「ここに来た理由はねーーー」

キングの話した内容に、瑠依たちは顔を見合わせる。その顔は驚きに染まっていた。








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