剣と涙〜悲しみの連鎖を断ち切って〜
除霊
猫間家の屋敷の動画を見てから二日後、沙月と葉月、そして妖たちは猫間家の屋敷の前に立っていた。辺りはすっかり暗くなり、廃墟となった屋敷は不気味な雰囲気である。

「すごい霊気……!」

「ああ。これは相当手強いな……」

沙月がブルリと体を震わせ、葉月も顔を顰めている。屋敷にまだ足を踏み入れていないというのに、重苦しい空気が漂っている。

「沙月、葉月、無理してはいけませんよ」

「これは私たち妖でもキツいわ……!」

お雪と桜姫が言い、二人は無言で頷く。沙月の胃の中は燃えるように熱くなり、吐き気が込み上げてくる。それを感じ取ったのか、葉月が沙月の肩に手を置いた。

「無理すんなよ。別に俺だけで除霊に行っても問題ないんだからな?」

「だ、大丈夫……!葉月一人にだけ任せてはおけないよ!」

沙月はグッと拳を握り締め、除霊に使うお札を握り締める。深呼吸を繰り返していると、朧が近付いてきて沙月の手に触れる。力を分け与えられ、吐き気が少しずつ治まっていった。

「沙月、大丈夫?」
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