剣と涙〜悲しみの連鎖を断ち切って〜
どこかぶっきらぼうに言う葉月だが、頬の赤みは広がり、耳まで染まっていく。そして、沙月がほうきを片付けようと葉月に腕を伸ばすと、「これは俺が片付ける」と言い走っていく。

「ありがと〜!!」

不器用な優しさを向けてくれる葉月の背中に向かって沙月は叫び、汗を拭いながら家へと向かう。立っているだけでも汗が噴き出るのだから、動けば尚更体は熱くなっていく。

「このまま掃除をしてたら、絶対倒れていたよね……」

一緒に暮らしている家族、それから恋人の葉月や同居人たちの心配げな顔が目に浮かぶ。恋人の他にも同居人がいるのか、そう思っている人もいるだろう。だが、その同居人たちの姿を目にすることができるのは、ある一定の人たちだけである。

沙月が家の中に入ると、玄関が冷んやりとしている。刹那、水色の着物を着て雪の結晶の髪飾りをつけた女の子ーーーつららが抱き付いてくる。

「沙月ちゃ〜ん!」

「わあ、つららちゃん!」
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