剣と涙〜悲しみの連鎖を断ち切って〜
「足だけは引っ張んなよ」

葉月は、お札を手にしながら挑発するように笑う。すぐに「そっちこそ!」と紫乃に返された。

「とっても頼もしいな!よろしくね、瑠依くん、紫乃くん、菫くん」

沙月がニコリと微笑むと、紫乃と菫は「よろしく」と言ったものの、瑠依は少し緊張したように「お願いします」と敬語で言う。

「もう〜。敬語じゃなくていいのに!」

沙月がそう言うと、瑠依は困ったような笑顔を浮かべる。除霊の仕事さえなければ、「もっと仲良くなりたい」と言って手を取って走り出すところだが、目の前には悪霊が棲む屋敷があるためそれを堪えた。

「ドア、俺が開けたい!」

ひとめがそう言い、走り出す。沙月たちが慌てて続くと、ひとめはすでにドアに手をかけていた。

「来る!」

瑠依がそう呟いた刹那、ドアが完全に開いて荒れ果てた玄関が丸見えとなる。そして、開いたドアから恐ろしい形相をした悪霊が姿を見せる。目をギラギラと輝かせ、声にならない声を上げていた。

「ッ!」

沙月はお札を悪霊に投げつけ、葉月は手の中から炎の塊を生み出し、それを悪霊にぶつけた。二人の攻撃に当たった悪霊は、黒い塵になって消えていく。
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