全部欲しいのはワガママですか?~恋も仕事も結婚も~
「え、やだ。ここ濡れてるわ」
頭の中であれこれ考えていると、由華さんが急に不快そうな口調で言った。
何事かと彼女のもとへ近づいていけば、コーヒーメーカーを置いているあたりに茶色い液体が点在している。
「すみません」
由華さんの服が汚れなかっただろうかと気にしつつ、私はそばにあったカウンタークロスで手際よく拭き取っていく。
「郁海じゃないでしょ? 誰よ、こんなことをするのは」
「……峰松くんかな。さっきコーヒーを注いでたので」
「峰松~~!!」
私はさっきからここにいるが、由華さん以外に来たのは峰松くんだけだ。
コーヒーをこぼしたのはわざとじゃないとしても、きちんと自分で後始末をしてくれないと困る。
我が社は昨年まで使い捨てのコップを使用していたのだが、サステナブルな社会やSDGsを意識して、社員はマイカップを持参するようにと通達があった。
もちろん使用したカップは自分で洗うのだけれど、こう言ってはなんだが、うちは食器洗いの下手な男性社員が多い。
なぜか男性がシンクを使うと、周辺まで水が飛び散ってびちょびちょになっている。
それを拭き取ってくれればいいのだが、そのまま放置するから問題なのだ。水が見えていないのだろうか。
うがった見方をすれば、わざと無視しているように思う。
あとで誰か女性社員が気づいたら綺麗にしておいてくれるだろうと高をくくっていて。
注意を受けたら『ごめんごめん』と謝ればいいと軽く考えているのではないかな?
そんなふうに考えるのは意地悪かもしれないが。
こちらもいちいち目くじらを立てるのも疲れるから、細かい部分は目をつぶっている。
だけど仕事が立て込んで忙しいときは、こういうちょっとしたことでもイラッとしてしまう。
頭の中であれこれ考えていると、由華さんが急に不快そうな口調で言った。
何事かと彼女のもとへ近づいていけば、コーヒーメーカーを置いているあたりに茶色い液体が点在している。
「すみません」
由華さんの服が汚れなかっただろうかと気にしつつ、私はそばにあったカウンタークロスで手際よく拭き取っていく。
「郁海じゃないでしょ? 誰よ、こんなことをするのは」
「……峰松くんかな。さっきコーヒーを注いでたので」
「峰松~~!!」
私はさっきからここにいるが、由華さん以外に来たのは峰松くんだけだ。
コーヒーをこぼしたのはわざとじゃないとしても、きちんと自分で後始末をしてくれないと困る。
我が社は昨年まで使い捨てのコップを使用していたのだが、サステナブルな社会やSDGsを意識して、社員はマイカップを持参するようにと通達があった。
もちろん使用したカップは自分で洗うのだけれど、こう言ってはなんだが、うちは食器洗いの下手な男性社員が多い。
なぜか男性がシンクを使うと、周辺まで水が飛び散ってびちょびちょになっている。
それを拭き取ってくれればいいのだが、そのまま放置するから問題なのだ。水が見えていないのだろうか。
うがった見方をすれば、わざと無視しているように思う。
あとで誰か女性社員が気づいたら綺麗にしておいてくれるだろうと高をくくっていて。
注意を受けたら『ごめんごめん』と謝ればいいと軽く考えているのではないかな?
そんなふうに考えるのは意地悪かもしれないが。
こちらもいちいち目くじらを立てるのも疲れるから、細かい部分は目をつぶっている。
だけど仕事が立て込んで忙しいときは、こういうちょっとしたことでもイラッとしてしまう。