離縁するはずが、冷徹御曹司は娶り落とした政略妻を甘く愛でる
 通路に面した壁の上半分がガラス張りになっていて、高級感のある執務室に置かれたデスクやキャビネットが見えた。
 
「すごい。執務室がガラス張りなんですね」
「役員と私たち秘書とのコミュニケーションを取りやすくし、迅速に対応するためにガラス張りにしたんです。一応ブラインドで目隠しもできるようになっていますがね」
「父が普段仕事をしている議員会館の事務室とはまったく違うので、驚きました」
 
 さすが国内有数の大企業だ。

 会社の在り方や仕事の流れをどんどんアップデートしているんだろう。
 
 風通しのよさそうな空間にため息を吐く。
 
 感心してからはっとした。
 
 執務室がガラス張りということは、向こうからこちらが見えるのでは。
 
 さりげなく岩木さんのうしろに隠れると、「どうしました?」とたずねられた。
 
「忍さんに見つからないようにと思いまして……」
 
 もし見つかったら、『なんで会社に来たんだ』と嫌そうな顔をされるに違いない。
 
「大丈夫ですよ。副社長は会議中ですから」
 
 そう言われ、ほっと胸をなでおろす。
 
「あそこにいるのが副社長です」
 
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