離縁するはずが、冷徹御曹司は娶り落とした政略妻を甘く愛でる
 岩木さんの視線の先を見る。
 
 会議室も通路側がガラス張りになっていて、テーブルには十名ほどの男性がついているようだ。

 その中に忍さんを見つけた。
 
 会議の参加者は年配の男性が多く、忍さんが一番若く見える。
 
「なにを話し合っているんですか?」
「幹部が集まって企業戦略や方針を決定する、経営会議ですね」
「そんな大切な会議の最中なんですね」
 
 たしかに会議室には真剣な空気が漂っていた。
 
 そんな中、忍さんが中心となって会議が進んでいるようだ。
 
 年上で貫録がある幹部たちを相手に、彼は冷静な表情で意見を主張し会議の場をまとめている。
 
 凛とした姿に思わず「かっこいい……」とため息がもれた。
 
 すると、五十代くらいの恰幅のいい男性が忍さんに反論するように声をあげた。
 
「せっかく早川地所を傘下に入れたんだ。その店舗を潰すんじゃなく、看板をつけ替えればいいじゃないか。そうすれば、事業所数で二位以下のデベロッパーを大きく引き離せる」
「ですが内田部長、事業所の数だけ増やしてもなんの意味もありません」
 
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