離縁するはずが、冷徹御曹司は娶り落とした政略妻を甘く愛でる
「いえ、私がお願いしたんです。実家からスイーツが送られてきたんですが、ひとりじゃ食べきれなくて困っていて」
 
 私の言葉を聞いて、忍さんがぷっと噴き出した。
 
 ぎこちなかった表情に、優しい笑みが浮かぶ。
 
「甘党の琴子でも食べきれないくらいの量が送られてきたのか」
「そうなんです。家政婦さんたちがあれもこれもって詰め込んでくれて……」
 
 そう言いながら、あれ?っとひっかかる。
 
 どうして忍さんは私が甘党だって知っているんだろう。
 
 不思議に思っていると「おやおや」と背後から声が聞こえた。
 
 振り返ると、さっき会議室で忍さんにやり込められていた、恰幅のいい男性がこちらを見ていた。
 
「内田部長」と忍さんの声がわずかに低くなる。
 
 さっきのやりとりを見ていた私は、少し緊張しながら立ち上がり背筋を伸ばす。
 
「これが噂の奥さんかい? いやぁ、美人さんだねぇ」
 
 私の足元から顔まで、じっくりと値踏みするような視線を向けられた。
 
「えぇ。妻の琴子です」
 
 忍さんに紹介され、柔らかく微笑み頭を下げる。
 
「主人がいつもお世話になっております」
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