離縁するはずが、冷徹御曹司は娶り落とした政略妻を甘く愛でる
 手をつなぐなんて、人生初なんですけど!
 
「デートなんだから、手ぐらいつなぐだろ」
 
 パニックになっている私に、忍さんは平然とそう言う。
 
 どうしよう。
 意識しすぎて手のひらが汗ばんでいく。
 
 忍さんに不快に思われるかも。

 ぐるぐると考え込んでいると、そんな私の葛藤に気づいた忍さんが目元をゆるめた。
 
「手に汗をかいてる。緊張しているのか」
「ご、ごめんなさい……っ」
 
 恥ずかしくて、泣きそうになりながら謝る。
 
 手を離してくれるかと思ったのに、忍さんは指先に力を込めた。
 
 強く指が絡み、心臓が跳ねる。
 
「謝らなくていい」
「でも、いやでしょ?」
「いやなわけないだろ。俺を意識してるってことなんだから、逆にうれしい」
 
 ご機嫌な口調で言われ、慌てて否定する。
 
「べ、別に意識してるわけじゃないから!」
「こんなに緊張してるのに?」
 
 意地悪な視線を向けられ、私は反論できずに黙り込む。
 
 唇を引き結ぶと、忍さんがくすくすと笑った。
 
「君は、想像していた女性とまったく違うな」
「え、想像していたって?」
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