男装獣師と妖獣ノエル ~騎士団で紅一点!? 幼馴染の副団長が過保護です~
 いつか薬の調合を教えようと両親はいってくれたけど、私が九歳の頃に、馬車の事故で亡くなった。

 秘密の友達に助け出された、私だけが生き残った。

                ◆

「ラビィッ、ひどいですよ、一年振りなんですよ!? どうして僕を門前払いするんですかッ」
「幼馴染ってだけなのに色々と煩いから! というか、なんでここに『オレ』がいるって分かったんだよッ」
「母上に教えられました」

 あれから八年、私――

 いや、オレは薬草師と、獣師の仕事をこなして生活している。

「ちッ――よし、分かった。今はちょっと忙しいから、ひとまず帰れ」
「えぇ!? ひどいッ、門前払いに変わりはないんですかッ?」
『相変わらず扱いがひでぇな、ラビ』

 他の人には見えない大きな黒い狼が、オレの背中を、ふわふわの尻尾で撫でながら可笑しそうに笑う。

 今はテーブルに、オレと友達の食事が並んでいるのだ。だからここで、この幼馴染を入れる訳にはいかない。


 生まれて十七年、両親と死に別れて八年。

 誰にも見えない秘密の友達の事を、オレは誰にも話していなかった。
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