そして僕はまた、君に出会える時を待つ
すると、カウンターに肘をついた右手で頭を支えていた彼女が、赤らんだ顔をこちらに向けた。
「……ごめんなさぁいね〜」
アルコールのせいだろう。
潤んだ瞳に、少しゆるんだ赤い唇。
大人の女性の、酩酊した無防備な顔に、腹の奥が熱くなるのを感じた。
「加奈子さん」
戻って来たマスターがそう呼ぶと、彼女が顔を上げる。
「タクシー、すぐ来るから」
「…………うん……」
「今日はもう帰った方がいい」
「ありがと」
うつむき気味で答える彼女と、あやすような優しい口調のマスター。
落ち着いた涼し気なモテ男っぽいマスターと、いかにもキャリアウーマンという感じの彼女。
年齢も同じくらい……だろうか。
短い言葉を交わす2人が、なんだかお似合いの、イイ感じに見えて、胸の奥がチリつく。
到着したタクシーに乗り込む彼女の荷物を持ち、手助けするマスターの姿を見ると、更にそれはひどくなった。