そして僕はまた、君に出会える時を待つ


チリチリ、チリチリ。


それは、線香花火のような、小さな火花だったけれど。


初めての僕にとっては、充分に熱い、嫉妬の炎だった。



「彼女、ですか?」

彼女を見送って、戻って来たマスターに、前置きもなく言ってしまった自分に驚く。


ちょっといきなりすぎた……というか、何言ってんだ、自分。


恥ずかしさに、思わず額を押さえる僕を見て、ハハッとマスターが笑う。

「違う。彼女じゃないよ」

目を上げれば、伊達っぽい眼鏡の奥の目を細めて、面白そうに笑うマスター。

「どうして、そう思った?」
「なんだかこう…距離が近いっていうか……親し気だったから」
「ふうん……そうか〜」

楽し気に笑いを漏らし、彼女のいた場所を手早く片づけると、カウンターの中へ戻っていく。

向かい合うと、にっこり、と愛想よく笑うマスター。
< 10 / 83 >

この作品をシェア

pagetop