再会は甘い恋のはじまり…とはかぎりません!(おまけ追加しました)

四年後…


ヤバッ!
こんなに時間が経ってたなんて!

祥は部屋の中を走り回っていた。

帰宅した時に散らかり放題の部屋を見ると、どよーんとした気持ちになるので、できるだけ片づけてから仕事に行くようにしている。でも今日はついやり過ぎて遅くなってしまった。

「つむ!もう行くよっ。リュック背負って!」
「できたー」

フッと玄関を見ると、ヘルメットをかぶり、靴もはいて、玄関にちょこんと座る後ろ姿が見えた。

三歳の娘つむぎは、母親よりもしっかりしていると評判だ。
子どもは親の背中を見て育つというが、祥はとっくに追い越されているらしい。

自分の荷物をかき集め、急ぎ足で玄関に向かう。
つむぎのヘルメットの顎ひもをパチンと留めながら、真ん丸な目を覗き込んだ。

「今日も元気に!」
「しゅっぱーつ!」

つむぎは手をあげながら、元気に返事をしてくれる。
小さな手にハイタッチをして、二人で笑い合った。

家を出るとかなり急な外階段がある。手すりにつかまって、真面目な顔で一段ずつ降りる娘を見て祥は微笑んだ。

ついこの前まで、一人で階段を降りることはできなかったのに。
下まで降り切って、自慢げな顔をしている娘の頭を撫でた。

自転車の椅子につむぎを座らせると、祥は自転車をこぎ始める。
電動自転車を買って、通勤が格段に楽になった。
祥には思い切った買い物だったが、値段が高いものには高いだけの理由があると納得中だ。

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