男装獣師と妖獣ノエル 2~このたび第三騎士団の専属獣師になりました~
 荷物を仕分けながら、それとなく明日の事を訊いてみると、部屋まで迎えに上がるので支度して待っていてと説明された。

 専用馬車だと目立ってしまうので、調査任務には一般馬車を使うらしい。騎士団といった組織から優先的に依頼を受けているところがあり、これから手配と調整にあたるので、交渉によっては出発時間が少し遅れる可能性もあるのだという。


 これから世話になる宿が決まった後、ラビは王都に来た挨拶をするため、続いてセドリックと一緒にとある豪邸に立ち寄った。


 やってきたのは王都にあるヒューガノーズ伯爵家本邸である。セドリックやルーファスの実家であり、伯爵夫人が身ごもって体調を崩してしまう前までは、忙しいヒューガノーズ伯爵と共に暮らしていた本邸だった。

 到着して早々、ラビは予想を上回る豪勢で立派な伯爵邸を見上げて、唖然と口を開けていた。訪問を歓迎するように、屋敷の入口に何十人もの使用人が並ぶ光景に、思わず「これは現実なのだろうか」と目を擦ってしまう。
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