俺様御曹司が溺甘パパになって、深い愛を刻まれました
話を聞くよと伝えた。
味方になると言った。

やっと応えてくれたこの子を、こんなに若いのに身籠もって、一人でここまで来たこの子を、他に用ができたからじゃあねだなんて、どうして言えるだろう。

母親としても、仕事としてもそれってどうなのかな。


子供より仕事を優先することに葛藤はある。
夜尋にはうらまれるかもしれない。
こんなに泣いているのに来て貰えなかったと、その傷が深く心に残ってしまったらと思うと、怖くてしかたない。



何が正解かもわからないけれど、今、どうしてもナオを一人にしたくなかった。

四年前の自分と重ねているのかも。
そんな思考と同じくらい、夜尋へ対する焦りも次々と溢れていた。


1秒も無駄にできない。早く、駆けつけないと。
あの子を守れるのはわたしだけ。


わたしだけが―――――……


『ママあ! おーくん! おーくんどこぉ!』


夜尋が、音夜を呼んだ。



『おーくううううぅ……』


それは、美夜と夜尋にとって、物凄い変化だった。
咄嗟に思いついた事に、緊張で胸を喘がせる。


「―――――いかなくて、大丈夫」


張りつめた、硬い声がでた。息をするのを忘れたかもしれない。
気がついたら、そう口をついていた。


ソワソワとしながら見守っていた若林も、音夜も「え」と漏らす。


ナオもびっくりしていた。
ナオの手を掴むと、音夜を見上げる。


「っぱ、パパがいるから……っ」

「―――――ええ?!」


若林は叫びそうになって、とっさに自分の口を塞いだ。


音夜は目を見開く。


「お、お願い。夜尋を、お願い。音夜にしか頼めないの」


震える声で告げると、音夜は唇をきゅっと結んで、「任せて」と呟きすぐに身を翻した。


普段はどんなに忙しくても絶対に走るなと注意する立場なのに、全力で駆けていく。


「え? え? ええー?!」


若林は混乱していた。顔が真っ赤だ。


「待ってください。意味が分からない。どういうことです?! あれ? まってそういえば美才治さんと夜尋くん似てる?! 似てますね?!」


それに苦笑を向けて、あとで説明するからと落ち着かせた。
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