俺様御曹司が溺甘パパになって、深い愛を刻まれました
「夜尋、トモヤくんはね、ナオちゃんのあかちゃんのパパになる準備をしにいったんだよ」
「なーちゃん、あかちゃいーの?」
「そう。おなかにね。ナオちゃんがママ。トモヤくんがパパだ。赤ちゃんが生まれて大きくなったら、また遊びに来てくれるって約束したから、それまで我慢しような」
「やくしょくした?」
「ああ、ちゃんと約束したよ。ほら、あーん」
「やくしょく」
また会えるとわかってくれたのか、機嫌がよくなった。
「あー」
二人の掛け声にあわせて、今だと言わんばかりにえいっとハンバーグを口に入れた。
夜尋はもっきゅもっきゅと一生懸命に噛む。
この調子で一気に食べさせれば、なんとかリカバリが……
夜尋は口のまわりについたソースを手で拭いて、その手のままご機嫌に音夜に抱きついた。
デミグラスソースが音夜のシャツにべったりとついてしまい、音夜が「あっ」と残念そうな声をあげた。
「おーくんはぼくのパパね。まいにちあしょぶの」
「――――――え?」
「……あ……」
二人であっけにとられる。
「い、今……俺の事……ぱ、パパって……」
音夜は歓喜に震えた。
「夜尋……パパの意味わかる? 毎日、一緒にくらす人のことを言うんだよ」
ただ遊んでくれる人だと思っていそうで、不安になた。
「美夜……」
音夜が不安そうな目を向ける。
「あのね、音夜は、ママと夜尋を幸せにしてくれるひと。夜尋のパパはのこの人しかいないし、一緒に暮らしたいと思っているの。
ずっとずっと、一緒に居たい人。
今までずっと二人きりだったけど、これからは3人でがんばりたい。いいかな。
……――――おーくんが夜尋のパパでいいかな?」
話の内容をすべて理解できるとは思わない。
それでも、誠実でいたかった。
ちゃんと話をして、それで決めたかった。
勝手に父親としての権利を奪っておいて、今まで会わせなかったのに、さらに夜尋の判断ひとつだなんて、音夜に申し訳ないきもちはある。
でも、子供の気持ちは譲れないところだった。